発達障害の水際対策③ — あるべき生活様式を知り、維持する

 発達障害は言葉の依存症と繰り返し言っているが、言葉はあくまでも最も影響力が大きい要素の1つに過ぎない。衝動性を煽ってくる要素はなんでも発達障害の要因になると考えるべきである。たばこ、酒、ギャンブル、ゲームは勿論、テレビやネットなどの情報、歌や音楽、中毒性の高い食べ物など、脳を煽るものならなんでも対象となる。

 発達障害を改善するとは、一般的な社会人としての生活様式を止めるということだ。症状を改善したい者はこの解答例を受け入れる必要がある。

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 でも、ずっとやめ続ける必要はない。最初は回復に専念する期間をつくるとして、その時ばかりは徹底的に遠ざけるべきだが、回復域になれた後は、そのコンディションが常態化していればいいわけだ。

 私も酒とタバコとギャンブルはやめたが、ゲームは今も現役でやっているし、こうしてほぼ毎日なにかしら記事を書いている。休んで回復域に戻ってこられれば何も問題はない。(それでも、酒とタバコとギャンブルだけはおすすめしない)

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 ここでネックになるのが家族の存在である。

 あえて厳しい言い方をするが、家族のことは「喋る酒」だと思うしかない。私は妻と二人暮らしで、私は文章で、妻は絵を描く。だからお互いが黙々と創作活動をしている時間が長いのだ。

 作業場所もリビンク、ダイニングのテーブル、作業部屋と複数あるのでいつでも気軽に一人になれる。一般家庭よりも会話量は少ないだろう。

 そういう環境がつくれない当事者は、家族と相談して自室などのプライベート空間を設けるか、家から出て一人暮らしをするしかない。

 あと、パートナーがいる当事者は子作りについては慎重になった方がいいだろう。私には子供がいないので具体的な話ができないのだが、「作らない方がいい」とは言わない。

 ただ、相当の工夫が必要になることは間違いない。


発達障害の水際対策② — 改善の基準を決める

 発達障害の改善を試みている時に困るのが「なにを以って改善とするか」だ。

 開頭して脳の状態をチェックできるわけでもないし、脳波を参考にするとしても、時間やお金がかかってしまう。そこまでできたとしても、見るべきところはどこなのか。

 どれだけ改善できたと思えても、周りから見れば改善できていないのかもしれない。

 そこで基準にできる要素が「症状の発生頻度」である。

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 例えばケアレスミスに関して言えば、この症状の当事者なら大体どれくらいの頻度でミスをしてしまうかをなんとなくでも覚えているはずである。

 私の場合、症状に振り回されていた頃は「ほぼ毎日なにかしら最低1回はミスをする。多い時は2〜3回」といった感じだった。

 1として扱うミスの水準は人によるだろうが、皿を割るなど元に戻らないこと、謝罪や反省が必要なこと、管理者から注意を受けること、誰かが予定外の時間を使って対応する必要があるなど、周りの人が頻繁に起こさないことはミスとして計上してもいいだろう。

 これが限りなくゼロにな理、それが一定期間維持されていれば、「ケアレスミスは改善できた」と判断できるわけだ。

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 頻度基準はコミュニケーションの改善具合を考える時にも使える。

 私の場合、学生の時なら誰と話していても、いつかは怒らせて嫌われてしまった。いつ何時も関係の悪い誰かが身近にいる状態だった。ほとぼりが冷めてもその頃には別の誰かと揉めている、というわけだ。

 中2の時にいじめ体験を通して言動を自重するようになってからは、対人トラブルの頻度は減ったが、「誰とも揉めていない期間が年に何度かつくれるようになった」だけで、根は変わっていなかった。
 高校中退後に家業へ就職した後、平日の夜は他所でアルバイトをすることになったが、そのバイト先でも同僚と対人トラブルを起こしてしまった。

 これが、オンラインゲームを利用してコミュニケーション訓練をするようになってから少しずつ変わっていった。「一ヶ月誰ともトラブルを起こさない」という目標を意識してプレイすることにしてから、対人トラブルを起こさない期間が二ヶ月、三ヶ月、と伸びていったのだ。

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 私が過去に勤めていたデバッグの仕事でも頻度は基準になっていた。その不具合は同じ操作をすれば絶対に発生するのか、それとも頻度があるのか、それは何回中何回発生するのか。

 バグが修正された後も、元々の発生頻度と比較した上で修正の成功可否を判断した。100回やって1回しか発生しない不具合は、100回200回と同じ手順で操作をして、本当に不具合が修正されたかどうかを判断したものだ。

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 発達障害も診断の根拠として注目されることが「症状発生の頻度」である。実際、DMS(精神疾患の診断・統計マニュアル)でも発達障害や依存症の診断基準にいは頻度が採用されている。

 このように改善の根拠として頻度を基準にすることは全くおかしくないのである。


発達障害の水際対策① — 改善法を選択肢として

 数年前に受けた空港警備に関する座学で「水際対策」という言葉を聞いた。伝染病や犯罪など有害なものが上陸するの防ぐ為に、空港などで実施される検疫や検査のことだ。

 別に空港に限ったことではなく、ある境界線を引いて行われる有事対策全般に使える単語だと思っていい。

 丁度その頃、海辺モデルの基準が頭に出来つつあった私の脳は「水際対策」という言葉を取り込んだ。発達障害と社会との関わりについて、私が以前から懸案事項としている問題の対策に相応しい言葉だった。

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 認知度の広まりに伴い理解や支援は進展したと言えるが、「症状の改善」については全く進んでいないと言わざるを得ない。これは発達障害が「障害」として認知されているせいである。世間的に「障害」とは「治せないから障害」なのだ。

 実際には障害というより依存症だ。訓練で改善が望める症状もある。私の考察でもケアレスミス、コミュ障、習得困難は改善できるものとして発信している。しかし、その術は一般常識として浸透しているわけではない。

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 私の改善法が広まったところで発達障害症状に苦しむ人全てが救われるわけではないが、改善法で症状が改善すれば、望んでいない診断や精神薬を飲む人をそれだけ減らすことはできる。

 その効果と結果の関係性はまさに水際対策だと言える。

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 私がまだ症状に振り回されていた頃は、これといった改善法は存在しなかった。どれだけネットで調べても「これだ」と思えるものには出会えなかった。一般常識として浸透していないという意味で言えば、今も状況は大して変わっていない。

 ただ今の時代は私がネットで発信していることにより、誰もが「改善を試みる選択肢」を得ることができる。

 この取り組みは水際対策以上のものにはならないと思う。

 それでも生きている限り続けていきたいと思っている。



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