発達障害の初診に行くときは必ず気をつけなければならないことがあります。一生を左右するので、必ずお読みください。
それは初診時に年金の未払いがないことです。
ご存じない方も少なくないのですが、実は障害年金の請求要件と年金の納付状況はそのまま請求資格として関わっているのです。
基本的な概要は上記「日本年金機構」さんの解説を読めばわかります。ざっくり言うと、国民年金加入中に初診日がある人は障害基礎年金、社会保険加入中に初診日がある人は障害厚生年金、ということになります。
絶対に未払い状態で発達障害の初診に行くな!
ここで注目しなければならないのは初診日という基準で、「もし年金未払い中に初診日がある人はどうなるの?」と言うことです。例えば、働いていない時期に、国民年金の支払いを免除手続きもしないで長期間を放置して、その間に発達障害の病識を持ってふらっと診察に行ったようなケースが該当します。
その場合、請求要件を満たさないので障害年金が請求できない、ということになります。そりゃそうだろ、くらいには思えるかもしれませんが、問題は、その厳しさなんです。
未払いだったお金を後納したとしても、初診時に請求要件を満たしていたわけではないので、要件の復活になりません。(ソース 【障害年金専門の社労士】障害年金の申請なら東京のピオニー 初診日後に後納しても納付要件は満たさない)
初診時に診断が下りなかった場合や誤診だった場合でも、発達障害の疑いを持って診察に行ったのであれば、その日が初診日になります。(ソース 障害年金を【低価格サポート】東京・渋谷の社労士事務所 誤診のときの初診日)
私のケース
ここで私のケースをお話しします。私は中学生のころにいじめられた体験を通して自分が障害者である病識をもてたのですが、親に精神科へ連れていってくれとお願いしてもろくに話をきいてもらえず、自助努力を余儀なくされました。26年以上前のことで、当時は一般的に発達障害という概念は浸透していなかったので、何もかも手探りでした。この時にもし診察(初診)にいけていれば、私は障害基礎年金のグループになっていたはずです。
その後、独自の考察をもとに普通の人になることを目指しますが、軽微な成就があっただけで十分なものではなく、結局、障害特徴を理由に高校は中退。当時は障害について悩んでいることを人に話す発想すらもてない精神状態だったので、親にも先生にも本当の理由は言わず、家庭の事情と人間関係を複合させたような中退理由を作る形になりました。
その後は両親の家業が営む飲食店にアルバイト入社したわけですが、実は両親は自転車操業をしていて、収入の全ては支払いが最優先でした。借金の総額は六千万近くあり、あらゆる消費者ローンから借りまくっていたため、給料の支払いも税金の納付書と一緒に一括管理していた親は、国民年金の支払いをしていなかったのです。後に免除手続きはしたとは聞きましたが記録を見た限り、免除申請は通らなかったのではないかと思われます。
そんな状況だったとは知らないまま23歳になった私は、家業の自己破産をきっかけに一人暮らしをすることになりました。その時に国民年金は払っていないと聞かされましたが、私も税知識が不足していて、貯金ができたらどこかでまとめて払おうくらいに思っていました。
こうしておよそ三年分、国民年金の未払い滞納を背負った状態で一人暮らしデビューしたわけですが、その時点で統合失調か双極性障害のような症状に振り回されており、夜勤の仕事も生活サイクル的に全く合わず、精神的にやられた私は自助努力での克服を諦めて発達障害の診察へ行くことにしたわけです。一人暮らしをはじめてから一年目のときでした。
こうして国民年金の未払い状態での初診スタンプを押してしまうことになりました。
私が一人暮らしをしてからの分だけでも支払いを開始しなかったのは、単純に税知識が不足していたことが第一の理由で、生活と収入の継続力に不安があったので後回しにしたことが第二の理由です。
それでも、当時の自分は親と離れられることで、やっと普通の人生が歩めるという喜びに満たされていましたから、未納さえなければ積極的に支払っていたかと思うと、10割自分が悪いとも思えないところに、やるせ無い気持ちがあるのです。そもそももし障害年金の請求要件と関わっていると知っていれば絶対に払っていました。
年金事務所に相談行くな!
こういう場合は、「年金事務所に相談すればいいのでは?」と思う人もいるかと思いますが、絶対にしてはいけません。
以下、引用です。
自分で年金事務所に行くとどうなるか? - 郵送で障害年金申請代行・相談は障害年金専門の社会保険労務士集団へ障害年金を検討する場合、社会保険労務士に相談ではなく、まずは年金事務所に相談に行く方もいらっしゃいます。自分で年金事務所に行った場合、どのような流れになるのかを解説します。ここで、気をつけるべきポイントがあります。
年金事務所での相談内容は、具体的な内容がデータベースですべて記録・保存されることになっています。そのため、誤った情報を伝えてしまった場合でも、その内容が登録されます。具体的には、
・初診日の病院や日付が違っていた
⇒初診日が昔の人ほど、このようなことがあり得ます・他の傷病でかかっていた病院を、誤って障害年金を申請する傷病の初診日の病院と伝えてしまった
⇒これもよくあるケースで、初診日の記憶が曖昧な場合は起こりえますなどの場合でも、これらの相談内容がすべて記録・保存されてしまうのです。
また同様に、上記の「初診日に関するアンケート」についても、紙媒体として保存されます。ここで、上記のように誤った情報を伝えてしまった場合、後からそれが間違いであると判明した場合でも、訂正が困難になるケースがあります。なぜかというと、初診日は上記のように受給資格の有無、年金額の計算など、すべての基準になる大変重要な日だからです。
よって、相談者が「初診日は実はその日ではありませんでした」と言っても、年金事務所の職員は、「初診日がその日だと初診日の証明書が取得できない、または年金保険料の納付が足りないなど、不都合があるからそのように言っているのではないか」などと思われてしまい、結局のところ相談者が伝えた誤った情報がさも事実かのように扱われてしまうことがあります。
よって、当社が代理で年金事務所に行く場合は、そのようなことがないように細心の注意を払って相談に行くことになります。一般の方は、年金事務所に行く場合、特に何も準備せずに気軽に行く方が多いと思いますが、実は、年金事務所での相談は、うかつな発言が命取りになるケースがあります。
というわけで、障害年金ところで相談するべき先は社労士ということを覚えておきましょう。ちなみに私は年金事務所へ相談へ行ってしまった人です(涙)
あとから別の精神疾患になっても初診日はかわらない!
さらに悲惨なことに、発達障害の上にうつ病など別の精神疾患になったとしても、その新たな精神疾患の初診日も発達障害の日と同じにされてしまうのです。
初診日とは何か? - 神戸市・明石市で障害年金の申請・審査請求・額改定のご相談なら前から発症している「知的障害」や「発達障害」と、後から発症した他の精神疾患とが同じ病気と考えられるかどうかは、発病の経緯や症状により総合的に判断されます。
たとえば、知的障害や発達障害のなかには、まれに統合失調症を発症した場合は、同じ病気とみなすため、知的障害や発達障害での初診日が統合失調症での初診日にもなります。
■【知的・発達障害と他の精神疾患が併存するときの初診日の考え方】
前から発症(A) 後で発症(B) 判定 ① 発達障害 うつ病
神経症(精神病の症状)
同じ病気(発達障害の初診) ② うつ病
統合失調症
発達障害 発達障害でなく「うつ病」「統合失調症」
が「初診日」
③ 知的障害(軽度) 発達障害 知的障害で障害年金の手続き ④ 知的障害 うつ病 知的障害で障害年金の手続き ⑤ 知的障害 神経症で精神病の症状 知的、精神病を別々の病気で「それぞれの初診日」 ⑥ 知的障害
発達障害
統合失調症 前(A)の病態として後(B)が現れた場合は同じ病気(Aの初診日)、個別の確認が必要(それぞれの「初診日」
⑦ 知的障害
発達障害
その他の精神疾患 別々の病気(A,、B病それぞれの「初診日」)
つまり因果関係があると認定されてしまうと、別の診断から障害年金を請求することもできなくなってしまうということです。
社会的治癒を目指すしかない!
こうなると初診日がずらせない限り八方塞がりとなってしまうわけですが、『社会的治癒』が認められればなんとかなるかもしれません。
初診日をずらす社会的治癒 | 精神障害・発達障害専門の障害年金社労士|群馬前橋〜全国対応初診日はずらせるか?初診日を恣意的にずらすことはできません。ですが、簡単ではありませんが、ずらすことが認められる場合があります。それが「社会的治癒」です。社会的治癒とは症状が安定して通院や服薬の必要がなく、また自覚症状や他覚症状にも異常がな...社会的治癒とは
症状が安定して通院や服薬の必要がなく、また自覚症状や他覚症状にも異常がなく、生活や就労が支障なくできている期間があれば、それは「社会的治癒」の可能性があります。簡単に言えば、一旦は良くなった病気が、ある程度の期間が経過した後に再発した場合、再発時の最初の受診日を「初診日」とすることができるということです。(本来であれば、同じ病気なので、一旦良くなる前に初めて受診した日が初診日です。)
そして、この社会的治癒に該当するかどうかは、一律の規定があるわけではありません。
請求者側から社会的治癒を主張した場合に、診断書や病歴・就労状況等申立書などの内容によって、個別に判断されます。
つまり初診時に未払いであっても、長期年数診察に行っておらず治療の必要もなかった場合、その後で症状が再発した場合は、その時の診察日を初診日にできる場合がある、ということです。ネット調べですが発達障害の社会的治癒も認められるケースがあります。
社労士の中には発達障害は治らないから社会的治癒は認められない、と考えている人もいるので、相談したところが積極的になってくれなくても、諦めず別の社労士さんに相談してみてください。
私は発達障害の考察が成就し、30代は発達障害の症状に悩まず暮らすことができました。そして40歳になったときに手帳を返納するとお医者さまにも相談していました。もし返納できていれば、社会的治癒の条件を実質的に獲得できたことになります。しかし、コロナ禍を理由に転職を余儀なくされ、その転職先の会社は加害認知力が著しく低い職場だったため適応障害になってしまい、手帳の所持を継続することになりました。
この記事で伝えたことは知らない人がたくさんいるので、ぜひシェアなどで広めてくれると嬉しいです。私みたいな機能不全家族を所以とする請求難民は増えてほしくないので、ぜひお願いします。
なお、本記事では社労士さんの各サイトを引用させていただきましたが、発達障害の障害年金請求問題ではメジャーな話題なので、ぐぐれば他の社労士さんのサイトでも同様の解説を読むことができます。いろいろ調べてみてくださいね。
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