発達障害の治療① — 回復施設の草案

 発達障害が言葉を要因とする依存症状であるなら、回復方法も「言葉の使用量」を減らすことが不可欠だと考える。

 そこは他の依存症の治し方と考え方は同じだが、他と違って、言葉を断つことはこの社会で活動している限り、事実上不可能である。言葉を話す、聞く、読む、聞こえる、見える、思考するなどなど、どれか1つを切り離すだけでも相当の工夫が要るだろう。

 私は常々、この社会には〝専用の治療施設〟が必要だと思っている。言葉の使用量を減らした空間で、健康的な食事と運動に専念できる施設のことである。

施設の概要

  • 入所者は過度なケアレスミス、人を怒らせてしまうなどのコミュ障、簡単な仕事も覚えられないといった習得困難など、「大人の発達障害」に挙げられる症状に悩む18歳以上の者。
  • 全員に個室がある。室内は、家具はベッド、椅子、机、衣装棚など必要最低限のものだけ、色は白に統一するなど、情報量の少ない部屋。
  • 衣服は専用の白いジャージ。
  • 食事は部屋に届けられる。
  • 他の入所者と同じ施設内で過ごすが、集団行動は一切なく単独で活動する。
  • 共用はトイレと大浴場のみ。リフレッシュルームや食堂などはない。
  • 運動は屋内と屋外、両方で可能。屋内にはランニングマシンなどの軽い運動ができる設備、屋外には運動場がある。
  • 休憩は自室の他、外の広い芝生、噴水があるベンチなど複数の場所で可。
  • 他の入所者とは原則会話禁止。会釈や挨拶程度は可。

一日の流れ

  • 朝7時、起床。洗顔と軽い体操のあと朝ごはん。食後は自由時間。12時までに計1時間の運動をすること。
  • 12時、昼食。食後は自由時間。19時までに計1時間の運動をすること。
  • 19時、夕食。食後は自由時間。22時までに今日の日記を書くこと。日記は今日やったこと、思ったことや考えたことを振り返り、頭を空にするつもりで書くこと。
  • 22時、消灯。

   ◇ ◇

 上記、施設の概要と一日の流れは、私が自身が症状を大きく改善させるきっかけとなった放浪旅中の状況を参考にして設定した。

 入所者は一ヶ月間、ここで食事をし、ぼーっとし、運動をし、またぼーっとし、日記をつけて、寝る。ただそれだけをする。炊事洗濯掃除などの生活上のメンテはスタッフが行い、入所者は回復に専念できる。

 

 

 上図が診断域から回復域までのゾーンに、私のケースを重ねた図である。図の見方は下記の通り。

  • 赤色ゾーンが何らかの発達障害や精神疾患に陥っている状態
  • 黄色ゾーンが何らかの精神疾患に陥っている状態
  • 水色ゾーンが健常的に活動できる状態

 ①から②が生誕から24歳までの状態である。この間に発達障害を自覚して言動を自重したり、普通の人になる為の自助努力など、手探りのまま試行錯誤を繰り返したが、結局、診断域が定着した常態から脱することはできなかった。ほとんどの当事者が同様の境遇にいると想定する。

 注目してほしいのが③だ。25歳の時に発達障害を改善させようと、放浪旅を決行した時の変化である。旅中は重さ8〜10kgの荷物が入ったリュックとバッグを持って、毎日10km〜20kmほど距離を一人で黙々と、ただひたすら歩いていた。

 放浪旅後はそれまで自分を振り回していた症状が嘘のように静まった。当時はその要因がわからず、改善している状態と症状の再発を行き来した。それが④の、25歳〜34歳までの期間である。
 訓練で症状を改善させたり、比較的症状が障らない環境に恵まれたごく一部の当事者がいる境遇である。

 この後に、発達障害が言葉を要因とする依存症であり、言葉の使用量が症状悪化の要因であることに気がついた私は、お酒の飲酒量を気にするように、言葉の使用量が無闇矢鱈に増えないよう意識して生活するようにした。

 それが⑤、回復域を維持したまま活動している期間であり、現在の私の状態である。定型発達と同等のコンディションであり、今はもう、症状の再発に悩むこともない暮らしを送っている。

   ◇ ◇

 精神疾患の改善の情報を追っていると、ジョギングなどのスポーツを推奨する情報にたどり着くことがある。私からも推奨したい。運動中は言葉の使用量が減ることにより、脳の衝動性が鎮まるのである。だから精神疾患や発達障害にも効くのである。

 それでも結局治らないのは、運動後にまた言葉を使う日常に戻るからだ。上図の④の期間に相当する。お酒の酔いから覚めても、また飲酒すれば脳は酔う。当然の結果である。

 その点で言えば、いま話した回復施設も同じである。せっかく回復域になれても、言葉を多用する社会人生活に戻ればまた症状が再発することは容易に想定できる。

   ◇ ◇

 回復施設の役目は、当事者を一旦「回復域」にすることにある。上図でいうなら②から③の状態にすることであり、お酒に例えるなら「一旦、酔いが覚めた状態」にするということ。

 その回復域になることで、当事者はやっと、意識と脳の両方がシラフになり、訓練ができる状態になれるのだ。



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