発達障害の治療② — 基礎能力と職業能力の習得

 回復域になれたことで脳の衝動性と麻痺が鎮まった。この時点で少なくとも言動の自重がしやすくなっているはずである。しかし、そのまま社会に戻ればまた言葉の影響により症状が再発し、元の日常に戻ってしまう。だから社会に出る前に訓練をする。

 発達障害は生まれつきと言われるくらい、当事者は幼い頃から症状を抱えている。通常は成長過程で獲得できたはずのいろんな感覚を習得しないまま生きている。その欠損能力を、当事者用の特別な訓練を通して新規習得するのである。

基礎能力の習得

  • ケアレスミスの改善
  • コミュニケーション難の改善

 上記は大人の発達障害の特徴として挙げられる代表的な症状である。この症状を抱えたままだと軽作業のアルバイトすらままならない。

 トレーニング方法は拙著『発達障害考察本:31歳までグレーゾーンだった私がやってきた改善法』で解説したので本サイト上では省略する。

 この訓練後は過度にケアレスミスをしなくなり、標準的な受け答えができるようになっている。

職業能力の習得

 基礎能力の習得後、または同時進行となるが、職業能力の習得訓練をする。内容は一般的な職業訓練を想定しているが、このフェイズで大事なことは、オフィス業務と肉体労働の両方を経験することである。

 オフィス業務は言葉で業務を進める。
 対して肉体労働は動作で業務を進める。

 発達障害に向いている職種は動作で進める肉体労働の方だが、それはあくまでも模範解答。当事者でもオフィスソフトやプログラミング、社会人マナーに長けているなど、相性の良いスキルを習得している人は積極的にデスクワークも目指していきたい。

   ◇ ◇

 この訓練後は、よく使う社会人マナー、電話応対、書類作成や入力、ワードとエクセルといったメジャーなパソコンソフトの使い方といったオフィス業務と、土木や建設、配送や警備やといった肉体労働を体験している。

 訓練の目的は能力の向上よりも、就労のミスマッチが起きる可能性をできるだけ小さくすることにある。当事者はこの体験を通して、回復域を維持したまま勤められる業種を高い精度で選ぶことができる。

 治療と訓練を終えた後は証明書の他、得手不得手をまとめた診断書が発行される。当事者はそれをその後の就職活動にて活用する。

   ◇ ◇

 期間は回復施設での療養に一ヶ月、本項の訓練で一ヶ月、合わせて二ヶ月間を想定している。一生、症状に振り回される生きづらい人生を送ることを考えれば些細な投資であろう。

 ここまでやっても目立つ症状が残る場合は、その当事者が未診断であれば診察と障害者手帳の申請に繋げることができるし、精神薬の再検討や、職場では業務内容の見直しなど、日常と業務をより適正にする為の貴重な判断基準にすることができる。全く無駄にならない。

   ◇ ◇

 余談だが、当事者がこの治療と訓練に支払う費用は二ヶ月分で20万円以下にしたいと考えている。当事者に捻出できる費用として、最大でも一人暮らし一ヶ月分の生活費くらいが目安だと私は思う。

 ただ私の本音として、その費用は国が負担するべきだと思っている。

 発達障害の原因は言葉である。そしてこの社会では言葉を使って生きていく。それは誰の責任でもないが、この社会が言葉で築かれている限り、発達障害は社会の副作用だと私は考える。



Copyright (C) 2016 "HYOGOKURUMI" All Rights Reserved./「来未炳吾・平極ルミ・HYOGOKURUMI」の発達障害考察を主とした全ての発信は、相互不干渉など特別な約束をした者達を除き、どなたでもご活用できます。ただし著作権は放棄しておりません。あしからずご了承ください。詳細は著作権に関するガイドラインをご一読ください。/「HYOGOKURUMI.site」は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。