発達障害の治療③ — 症状の再発予防

 回復域になり、基礎能力と職業能力の習得訓練も終わった。今の段階は風邪に例えるなら「治った状態」でり、衝動性が静まっているという点だけでいえば定型発達と同じコンディションである。
 しかし、風邪も一生かからないわけではないのと同じで、発達障害も条件を満たせばまた症状を抱えてしまう。訓練だけではどうにもできない後遺症の問題もある。

 日常に戻る前に、再発予防に関する座学を受けてもらう。

発達障害の発生機序及び症状の考え方

 発達障害を依存症としてあつかう考察は持論であり、現代医学ではそのように定義されていない。それでも依存症として話を進める理由は、そうした方が原因から予防まで、一貫した理論で考えやすくなるからである。

  • 健常的な状態と依存症の状態は社会通念として区別されるが、そもそも人格意識というものは、脳の依存的働きにより形成された依存症状の一種であると考える。
  • 発達障害とはその特性が興奮したまま、長期間にわたって活動したことにより陥る境遇である。衝動性と麻痺の強さにより、言動が社会性よりも脳の衝動性が基準になる他、麻痺のせいで様々な知識や感覚の習得ができていない状態である。

 この依存症状(衝動と麻痺)が極端に増強されないように活動することが、再発予防の要である。

発達障害に推奨する生活様式

 依存症状が興奮する対象を遠ざける。主な対象は「食べ物」「娯楽」「言葉」である。

  • 「食べ物」は、和食を基本とした健康的な食生活を心掛ける。中毒性のあるジャンクフードやエナジー系ドリンク、酒や煙草などの嗜好品には手を出さない。
  • 「娯楽」は、ゲームや程々なら良しとして、ギャンブルは絶対にしないこと。
  • 「言葉」は、生活や労働において、言葉の使用量を少なくする。使用した文字量を気にすること。

 以下は、言葉の使用量を抑えることについての補足。

  • テレビは見なくて良い。天気予報やニュースを視聴する程度が理想。
  • ネットは調べ物やショッピング程度が理想。SNSはしなくて良い。
  • 読書や勉強は時間やページ数などで管理し、1時間以上続けないようにする。
  • 家族との会話は適度にする。
    等々

労働について

 「言葉の使用量が多い業種は相性が悪い」という考え方で決めると良い。

●向いている業種の例

  • 言葉ではなく動作を基準にする仕事。例:誘導員や工事現場の職人など
  • 作業内容が手順化されているチェック作業。例:不具合検出業や設備員など
  • 観察や記録を主として成果物をつくる作業。例:研究職など
  • 同じ動作を繰り返す作業。例:工場の作業者など

 無論、向いている職種に就けたとしても、上司や同僚からパワハラを受けるなど、衝動性が煽られやすい環境にいれば症状は悪化する。

●向いていない業種の例

 言葉を多用する職業全般。オフィスワーク全般、営業職、起業家、事務受付、コールセンター、苦情受付、小売店、飲食業、教師、医師、弁護士、政治家、アイドルなど芸能人、作家やライターなどの文章業、メディア関係職、など。

 これらの業種は〝言葉のちゃんぽん〟であり、継続して従事するには相当の工夫が必要である。

後遺症問題について

 当事者はその境遇故に、習得する知識や単語にも著しい偏りが発生する。同じ時代に生きていれば誰でも知っているはずの常識など、特別に教わる時間がとられない情報の欠落はなかなか厄介である。

 例えば「総理大臣の名前を知らない」とか「鎌倉幕府の成立を知らない」など、どうやって生きれば知らないままでいられるのかわからないものである。そういう類の知識の習得方法はあまり開拓されていない。しかも、常識として求められる水準は日々変化していく。

 知識として覚えるだけなら辞書を引くなりネットで調べればいい。知っている人が限られている専門知識などはそれで十分対策できるだろう。

 しかし、常識や社会通念といった基本的なことを、周囲と同じネイティブな水準で習得するとなると話は別だ。日常の見聞で習得するものは大体が不完全である。正確すぎても詳しすぎても、それらは偏りとなって他人との距離を生む。ただ調べて覚えれば良いものではないのだ。

 特に改善目標が「普通の人」である場合、これは大きなネックとなる。私はこれを「発達障害の後遺症」だと考えている。

 


 

 考え方は依存症からの回復とほとんど同じであるが、普通の人にとってはなんでもないことでも、発達障害者にとってはありとあらゆることが依存症状を煽る要因になってしまう。

 特に「言葉」には気をつけなければならない。その「言葉」をつかわなければ生きられないこの社会で生きている限り、衝動性の波が強くなるのは仕方がない。

 重要なのはその波を鎮めならが活動するということ。それができれば活動の幅は広がるし、できなければどこにいても症状は悪化する。

   ◇ ◇

 警戒しなければならないのはメディアである。メディアコンテンツの大半は喜怒哀楽を煽るものであり、当事者にとっては症状悪化の要因でしかない。ただ、それらは一般教養としてある程度は見聞する必要がある。

 良い面として、メディアは当事者の居場所を増やす影響力を有している。この恩恵は誰もが受けている。

 悪い面として、「居場所が決められる」ともいえる。本作に辿り着いた人の多くは発達障害の症状に悩んでいて、「普通の人」になる方法を求めている人だと思う。

 その方針からいって「当事者への配慮」は望まないものが多い。
 その日々を私たちは、平穏(calm)と呼ぶ。



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