一人暮らし生活で選んだ仕事は夜勤だったのですが、昼夜逆転した生活との相性が悪かったせいか、不定期に不眠症に陥りました。仕事を終えて帰宅するのは朝で、夜の仕事の為にお昼頃には眠らなければいけませんが、布団に入って目を閉じても眠気が全く来ないのです。一度不眠に陥ると1~3日は眠れませんでした。
不眠症は実家暮らしの時から抱えていましたが、一人暮らし生活をしてからより悪化したと思えました。仕事は発売前のデジタル製品の動作をチェックする仕事で、パソコンやチェック機材のモニター映像ずっと見続ける環境です。その上、アパートに帰ってからはずっとパソコンでオンラインゲームをしました。元々抱えていた精神面の不調だけではなく、モニターの光を見すぎたことも悪化の要因だと思います。そのうち寝酒を頼るようになり、精神面は更に悪化していきました。
これを解決したのが、アパートにいる時は〝部屋の電気を消して過ごす〟という方法でした。『自分はモニターの光を見すぎて脳が覚醒しっぱなしなんだ=脳の覚醒を鎮めれば眠気が来る』と推測し、電気を消してカーテンも閉めて、薄明りの中で過ごすようにしてみたのです。そうしたら、その日からちゃんと眠気が来るようになりました。
電気を消すのはどこかで見た方法ではなくただの思い付きだったのですが、悪くない方法だったと思います。
その後も眠気が遠いと感じた時は、この方法で脳の覚醒レベルを鎮めるようにしました。もしこの方法を思いついていなかったら、精神科へ行ったか、市販の睡眠導入薬を使っていたかもしれません。当時の自分はそれで薬に依存してしまった可能性がありますから、結構危ない状況だったと思います。
今の生活では置き薬に市販の睡眠導入剤を常備しています。警備の仕事は現場によって勤務時間が異なるので、睡眠時間が乱れる時があるからです。眠れないまま働くストレスより薬を飲んだ方がマシです。抵抗感はあるけど、まぁ市販薬ならね、と。滅多に使いませんが、とても重宝しています。
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不眠症に悩んでいた頃、「自分はショートスリーパーなのでは?」なんて思ったこともありましたが、今の私がその考えを持つことはありません。
ギャンブル依存症と〝金銭感覚の麻痺〟がセットになるように、依存症について考える時は麻痺を起こしている脳の働きにも注目する必要があり、逆に麻痺を起こしている感覚をヒントに、依存症を察知することもできます。不眠症は眠気を誘発する感覚が麻痺していることから、なんらかの依存症を疑うことができるわけです。ショートスリーパーも同じです。
この考え方は発達障害の考察にも使えます。よく例に挙げられる当事者の特性に「こだわりが強い」という言い回しがありますが、なぜ〝他に対する関心が麻痺している〟とは言わないのでしょう? これもその正体は依存症と考えることができますから、私はこれを個性とは呼びません。
しかし発達障害界隈には、このような〝症状を友好的に解釈する構文〟が増えすぎており、当事者も含めて多数の人が思考停止に陥っています。
一つのことに夢中になっている子供。
ギャンブル依存症になっている大人。
違いはなんでしょうか?