考察本シリーズを通して、人間の人格意識は依存症状であることをお伝えしました。この捉え方を基準にすることにより、精神バランスを健全に保つコツも単純化することができます。
それは、「インプット・アウトプット」、そして「リワード」のサイクル(周期)を保つことです。
- インプット = 学習、準備など
- アウトプット = 応用、実行など
- リワード = 報酬、成果など
人間は生きていく為にインプットをしなければいけません。インプットはストレスのもとですが、リワードを得る為なので、避けられないことです。あなたがテストや試験、資格、仕事などで成果を出し、お金を得る為に行っていることはインプットなのです。
アウトプットは、インプットした情報を自分の言葉にまとめてコンパクトにすることです。例えば、人に話したりノートにまとめたりする行為ですね。インプットで抱えたストレスを、何割か消化する効果もあります。
そしてリワードです。報酬が得られることにより、インプットで抱えたストレスを最大限に消化できます。依存症の仕組みを考える上では、特にこのリワードがポイントと言われていますね。
ここまでを踏まえた上で、本編へ進みます。
先に重要なことを話すと、
- インプットばかりの境遇はいつかオーバーフローを起こして病む
- 病みたくなければ適度にアウトプットをする
- リワードポイントを自分でつくって調整する
ということです。
例えば、教科書を読んで勉強するとします。インプットです。
次に、学習した内容を自分の言葉でまとめてノートに残しました。アウトプットですね。
そして、テストや試験を受けます。良い結果でした。リワードです。
この場合、インプットとアウトプットを交互に行い、最終的にリワードが得られました。
とても理想的です。
この3つのバランスが崩れると、どうなるでしょう?
勉強をして、ノートも活用しました。しかし、テストや試験の結果が、よくありませんでした。インプットとアウトプットをしたのに、リワードが得られなかったということです。ストレスですね。
こういう場合、ストレスの解消力が問われます。例えば、間違えた問題を復習するなどして学習要素へ繋げるといった、つまりリワードに転換するスキルが必要です。ただしこれはインプットを伴う為、毎回失敗して学習要素にする流ればかりだと、いつかはオーバーフローを起こしてしまいます。他にも、「頑張ったご褒美」という名目で、美味しいものを食べて消化するのも良いでしょう。
次は仕事に例えましょう。
仕事を習得する為に、先輩や上司から教わったり自分で調べたりします。インプットですね。教わった内容を参考にして仕事を進めたり、メモやノートにまとめます。アウトプットです。そして、業務が滞りなく完了しました。ある時は良い成果を出せたので、評価されました。リワードですね。
しかし、ミスをしてしまったり、自分の成果以上の結果を出した人が評価されたりすれば、十分なリワードは得られません。
メモをとることを禁止された場合は悲惨なことになります。インプットだらけになるからです。人によってはかなり厳しい境遇に陥ります。
あるいはケアレスミスばかりだと、ミスに対する警戒意識や、周囲からの注意指導により、インプットだらけになってしまいます。いつかは病むでしょう。
次はギャンブルに例えましょう。
ギャンブルがしたくなります。インプットに値する行為です。次に、ギャンブルをするとします。アウトプットですね。そして、賭け分よりも多くのお金を得られました。リワードです。
しかし、負けてしまった場合は、リワードが得られません。
次のリワードを求めてまたギャンブルをします。しかし負け続けてしまえば、いつかストレスがオーバーフローしてしまいます。これが、ギャンブルにハマった人の多くが依存症になって病んでしまう理由です。
このように、インプット・アウトプット・リワードは精神バランスと密接に関わっているわけです。
そして、そのサイクル(周期)を自分でコントロールできることが、病まずに生きるコツなのです。
試験勉強をするとします。インプットですね。その後は、インプットをしながらノートをとったり、試験の日を迎えるわけです。自動的に決定されるアウトプットとリワードのタイミングがあるわけです。
では最初の時点で、自分でアウトプットとリワードのタイミングをつくってみてください。
例えば、ノートをとるだけではなく、自分で問題集を買ってきて実力テストをしましょう。リワードのタイミングを自分でつくるわけです。他にも、勉強の進め方を工夫して、学習して問題集という順番ではなく、先に問題集をみて、問題に対応した部分を学習するという流れで、インプットからリワードのサイクルを小刻みにするというやり方もあります。
スモールステップという勉強法があります。難しい課題でも、わかる範囲から少しずつ攻略していくことで、挫折をせず取り組み続ける方法です。これもインプットからリワードまでのサイクルを小刻みにする方針です。
精神バランスを保つコツとして、「依存先を増やす」という話を聞いたことがある人もいると思います。あれは「インプットからリワードに繋げやすい行動を数打ちゃあたるで見つける方法」のことを言っています。ですので、依存先を増やそうとしても、インプットばかりになってしまえば死期を早めるだけなので、注意が必要です。
人によって、インプット、アウトプット、リワードに値する要素が違ってくることもポイントです。例えば一人でノートにまとめるよりも、誰かに話すことが最大限のアウトプットになる人もいますし、人に話すこと自体が大きなリワードになる人もいます。
また、良い結果を出すだけではなく、そのあと人を馬鹿にするところまでがリワードになっている人もいます。性格の悪い人が周囲にストレスを与えるところを見た時、「ああしないと自分が狂うんだろうな」と感じたことがあるでしょう。このサイクルの感覚は誰しもが習得することであり、その加害行為もリワードまでのサイクルの一部に組み込まれているとその感覚が判定するから、そう感じるわけです。
発達障害の症状に悩んでいる人は、仕事も人間関係も生活もなかなかうまくいかない為、常にインプットだらけになってしまいます。罵詈雑言をぶつけられた時の記憶や、実らない反省は、全てインプットです。それ自体がストレスとなり、脳のパフォーマンスが低下し、病みのもとになってしまいます。
しかし、自分がそういう境遇に陥っていることにさえ、自覚できなくなっている当事者は多いです。いつまでも悪循環から抜け出せないのです。
自分のせいではなく、職場のせいで健全なサイクルが維持できない場合もあります。教わることすら馬鹿にされ、メモも禁じられ、成果を出しても喜ぶことすら禁じられるような環境です。インプットばかりの環境に長くいると、いつかは病んでしまいます。解決できないようなら、退職を検討した方が賢明です。
それでも人は、インプットをしながら生きてくしかありません。
必ず、アウトプットを経てリワードに繋がるサイクルを意識しましょう。
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